事業調査項目

事業再生コンサルティングにおいて「事業調査(ビジネスデューデリジェンス)*を実施する理由は、財務諸表の数字(過去の結果)だけでは見えない、企業の「稼ぐ仕組み」そのものの現状と、将来の可能性を明らかにするためです。

財務分析が「健康診断(病状の把握)」だとすれば、その他の事業調査は「手術計画の策定(どうやって治すか)」の土台となるものです。


事業調査を実施する3つの決定的な理由

1. 収益構造の「真の現実」とギャップの把握

  • 目的: 帳簿上の数字(P/LやB/S)が示す結果と、現場の収益構造の現実との間に存在するギャップを埋めるためです。

  • 焦点: 財務分析で赤字が判明しても、「なぜ赤字なのか」は現場を見ないと分かりません。収益性の低い製品、非効率な生産プロセス、顧客が求める価値とのズレなど、利益が流れ出る現場の根本原因を特定します。

2. 再生計画の「実現性」と「持続性」の担保

  • 目的: 策定する経営改善計画が、机上の空論で終わらないよう、現場の実行能力や市場環境に照らして、**「本当に実現可能か」**を検証するためです。

  • 焦点: 外部環境分析やオペレーション分析の結果を総合し、計画目標(例:〇〇%のコスト削減、売上〇〇%増)を現場の努力で達成できる具体的根拠を確立します。この裏付けがない計画は、金融機関にも納得してもらえません。

3. 「コア事業」と「撤退事業」の戦略的選定

  • 目的: 企業の限られた経営資源(ヒト・モノ・カネ)を、どこに集中投下すべきかを明確に決定するためです。

  • 焦点: 事業部門ごと、製品サービスごとに、市場での競争優位性、将来の成長性、利益貢献度を評価します。その結果、**「今後伸ばすべき事業(コア)」と、残念ながら「撤退や縮小を検討すべき事業」**を選別し、再生戦略の方向性を確立します。

事業調査は、単に問題を特定するだけでなく、「この会社が今後、どうやって生き残り、成長していくか」という未来の設計図を描くための、最も重要な基礎作業となります。

財務分析

業再生会社が財務分析を実施する3つの目的

事業再生における財務分析は、単なる企業の成績評価ではなく、実態B/Sは企業の存続と再生に必要な「真の実態」を把握し、体外的な企業評価ために行われます。また、実態P/Lは補助金や企業の運営に関係のない、経費などを差し引き、正常のな収益力を把握し、経営計画の基礎となります。

 

 

1. 危機の本質(実態)の特定

  • 目的: 企業の倒産リスクを評価し、税務上の帳簿に現れない企業の真の経済状況(実態)を把握します。

  • 焦点: 実態P/L・B/Sの作成を通じて、真の債務超過額や事業継続に不可欠な損益水準を明確にし、最も早く止めるべき出血箇所と緊急度を判断します。


 

2. 再生可能性の判断と返済期間の算出

  • 目的: 事業を継続した場合に、本業の収益(キャッシュフロー)だけで借入金を何年で返済できるかを算出し、再生の実現可能性を客観的に評価します。

  • 焦点: 将来の収益改善計画に基づき、キャッシュフローの健全化を予測。金融機関に対して、**「何年後に自力で完済できるか」**という具体的な道筋と目標を示し、経営改善計画の裏付けとします。


 

3. 金融機関交渉の基盤づくり

  • 目的: 調査結果に基づき、客観的で実現性の高い経営改善計画書を作成し、金融機関や債権者に対して説得力のある説明を行うための根拠を確立します。

  • 焦点: 実態に基づいた企業の正直な姿を示すことで、金融機関に対し、信頼回復協力(リスケジュール等)を引き出すための土台とします。


財務分析における具体的な調査内容

1. 実態P/L(損益計算書)と実態B/S(貸借対照表)の調査

これは、税務会計上の数字ではなく、企業の真の財政状態と経営成績を把握するために行う、事業再生における最も重要なプロセスです。

 

 

項目 調査目的 具体的な調整内容の例
実態B/S 真の債務超過額の算出。売却可能性のない資産、隠された負債の把握。 * 資産の減額: 回収不能な売掛金、過剰在庫、時価が簿価を下回る不動産などの減額。* 負債の追加: 簿外債務(未払残業代、滞納税金、保証債務など)の追加。
実態P/L 事業継続に必要な本来の利益の算出。事業外の要素の排除。  費用の調整: 使途不明の経費の調整。特別損益の調整: 一時的な資産売却益などを除外し、事業の継続性を評価。

外部環境分析

外部環境分析は、企業が自力でコントロールできない「市場」「競合」「マクロな社会動向」といった要因を調査し、事業再生計画が環境変化の中で確実に成功するかどうかを判断するために行われます。

1. 外部環境分析を実施する3つの目的

1. 市場機会と脅威の特定

現在の事業が縮小傾向にある市場で競争しているのか、それとも成長市場にいるのかを判断します。これにより、事業撤退すべき分野と、収益の柱として強化すべき分野(市場機会)を特定します。

2. 再生計画の実現性の担保

財務分析や内部分析(オペレーション、労務など)で策定した改善策が、市場や競合の動きによって無効化されないかを検証します。これにより、計画の「絵に描いた餅」化を防ぎます。

3. 金融機関への説得力の強化

「この市場環境であれば、競合に勝って目標利益を達成できる」という客観的な証拠を提示することで、金融機関に対し、計画の確実性を強く訴えかける根拠となります。

2. 外部環境分析における具体的な調査内容

外部環境分析では、主にマクロ環境と業界環境の2つの視点から、企業を取り巻く状況を詳細に調査します。

調査視点 目的 具体的な調査項目(例)
マクロ環境分析 (PEST) 中長期的な市場の方向性と、事業に影響を与える脅威や機会を把握する。 * 政治・法規制: 税制の変更、業界規制の緩和/強化など。* 経済: 景気動向、金利、為替、インフレ率。* 社会: 人口動態、ライフスタイルの変化、消費者意識の変化。* 技術: AI、IT技術革新、製造技術の進化。
市場・顧客分析 「誰に」「何を」売るべきか、ターゲット層のニーズと変化を把握する。 * 市場規模と成長率: 対象市場の今後の伸びしろ。* 顧客ニーズ: 顧客の購買行動の変化、潜在的な不満点。* 流通チャネル: 既存の販売ルートの有効性、新規チャネルの可能性。
競合分析 (ファイブフォース) 業界の収益構造と自社の優位性を客観的に評価する。 * 直接競合: 主要な競合他社の戦略、強みと弱み、市場シェア。* 新規参入の脅威: 参入障壁の高さ。* 代替品の脅威: 自社製品/サービスが代替されやすいか。* 買い手・売り手の交渉力: 価格決定権を持つのが顧客か、サプライヤーか。

収益性分析

1. 収益性分析の目的:真の「儲けの源泉」の特定

収益性分析の目的は、単に売上高や経常利益を見るだけでなく、製品一つひとつ、取引先一つひとつに至るまで、**「真の儲け」を深く掘り下げ、経営資源を集中すべき対象を明確にすることです。

  1. 真の原価の把握: 実際にかかっているコスト(製造原価、間接費など)を正しく計算し、「見た目の売上は大きくても実は損をしている」**取引を炙り出します。

  2. 利益貢献度の可視化: 全ての製品、顧客、部門に対し、いくら利益に貢献しているかをランク付けします。

  3. アクションの決定: この可視化されたデータに基づき、**「撤退」「値上げ」「拡販」**という具体的な経営判断を下します。

2. 分析の具体的な焦点と調査項目

視点 調査内容 目的
単品・品目別収益 製品・サービスごとの原価計算の再検証。間接費(人件費、設備費)を正しく配賦し、真の利益率を算出する。 思い切ってやめた方が良い品目、または大幅な値上げが必要な品目を特定する。
取引先別収益 売上高だけでなく、取引にかかる総コスト(運送費、在庫コスト、返品対応費、手形の管理コストなど)を加味した取引先ごとの実質利益を算出する。 コストに見合わない取引先(不採算取引先)を特定し、関係を見直す。優良顧客へのリソース集中を決定する。
部門・チャネル別収益 販売部門や営業チャネル(EC、卸、直販など)ごとの収益性。 どのチャネルに人員や広告費を集中すべきかを決定する。

3. 分析から導き出す意思決定(アクション)

収益性分析の結果は、事業を立て直すための「痛み」と「成長」の具体的なプランとなります。

❌ 思い切って「やめるべきこと」の特定(止血の戦略)

  • 赤字商品・サービスからの撤退: 原価割れしている品目は、売上が立っていてもキャッシュを食いつぶす癌です。速やかに製造・販売を停止するか、最低でも原価を上回る価格に引き上げる交渉を行います。

  • 不採算取引先の見直し: 継続的なコスト負担が大きく、利益率の低い取引先は、コスト構造を見直す(値下げ交渉など)か、取引から撤退します。特に大口であっても利益を圧迫している顧客は、勇気を持って付き合い方を変更します。

✅ 集中し「伸ばすべきこと」の決定(増益の戦略)

  • 【値上げすべき商品・顧客】の特定: 利益率が低いが、市場での代替品が少なく価格交渉が可能な商品を特定します。また、サービスへの依存度が高い優良顧客に対し、適切な値上げ交渉を実行し、収益を適正化します。

  • 【拡販すべき商品・顧客】へのリソース集中: 圧倒的に利益貢献度が高い優良な単品や取引先に対し、営業・生産リソースを集中投下(撹拌)します。これにより、限られたリソースで売上と利益の最大化を狙います。

この分析を行うことで、「なんとなく忙しい」のに「なぜか儲からない」という経営の悪循環を断ち切り、「儲かる仕組み」を再構築できます。

オペレーション分析

 穴の空いたバケツ理論:稼いでも儲からない本当の理由

多くの中小企業は、外部からの水(売上)を懸命に注ぎ続けていますが、その足元には大きな穴が空いています。それが、非効率な生産・業務オペレーションです。

1. 儲けが流れ出る原因は「社長の視点」にある

社長の目はどうしても「売上」や「新規事業(マーケティング)」など、外部に向きがちです。その結果、「工場の生産や現場業務」は、「昔からやっていた方法だから」という理由で、非効率なまま放置されているケースが多々あります。

この**「古くて非効率なやり方」こそが、一生懸命稼いだ利益を内部から食いつぶす穴**なのです。

2. 驚きの実績:現場オペレーション改善の威力

しかし、ご安心ください。事業パートナー東京が着目するのは、この「内部の穴」です。

私たちのオペレーション改善支援では、                                          【実績データ】これまで1ラインあたり10人でこなしていた業務を、平均して**5人(約半分)**で完了できるようになる改善実績がデータとして示されています。そして浮いた5人は新たに売れ筋の商品を作る部門に回ります。

これは、売上をあげても、労務費が変わらず、製造原価が下がり、売上総利益が改善され、キャッシュが大幅に改善することを意味します。

3. 改善の優位性:「やるか、やらないか」の意思決定

オペレーション改善には、マーケティングのように複雑な市場調査や長い検証期間は必要ありません。

  • 即効性: 改善は純粋な内部の問題です。「ムダを排除する」という経営者の意思決定さえあれば、すぐに着手でき、即座に効果が出始めます。

  • 持続性: 一度改善された業務フローは、従業員の意識が変わらない限り効果が永続的に持続します。固定費削減の恩恵を、将来にわたって受け続けられるのです。

非効率なバケツに、いくら水(売上)を注いでも意味がありません。

まずは穴を塞ぎ、「利益が残る強い体質」を作り上げましょう。徹底したオペレーション改善をやり抜き、キャッシュリッチな企業への転換を共に実現しましょう。

人事・労務

業績が下降している企業では、組織内部に深刻な問題が潜んでいます。財務やオペレーションの改善計画を立てても、組織が停滞していては絵に描いた餅です。労務・人事分析は、組織の「実行力」を再生させ、改善を成功させるための土台を築きます。

1. 目的:組織の深部に潜む「やる気の穴」を特定

多くの企業で、業績下降に伴い、組織内の人間関係が悪化し、社員のモチベーションが大幅に低下しています。また、経営者の意図とは裏腹に、行き過ぎた管理が社員を萎縮させ、自発的なやる気を阻害しているケースも少なくありません。

私たちは、この**「組織の停滞」**の根源を突き止め、組織を再生計画を前向きに実行できる体制へと変革させます。

2. 調査方法と焦点:「人」の真実と「制度」の公正性を検証

私たちは、数字では見えない組織の「真の実態」を把握するため、以下の2軸で詳細な調査を行います。

① 社員一人ひとりの「本音」を掴む面談

  • 全従業員(または主要メンバー)と個別面接を実施します。

  • モチベーションが下がっている真の原因、マネジメントへの不満、組織内の軋轢など、経営者には届きにくい現場の「生の声」を丁寧に吸い上げます。

② 公正性と将来リスクの徹底検証

  • 【待遇の客観的評価】 同業他社と比較し、給与水準が「高いのか低いのか」を客観的に評価します。社員の不満の根源が待遇にあるのかを明確にします。

  • 【労働環境のチェック】 サービス残業や不適切な労務管理がないか、残業代が法的に適切に支払われているかを詳細に調査します。

  • 【将来の労務リスク対策】 未払賃金やハラスメントなどの潜在的な労務リスクを特定し、組織再生後に訴訟などの大きなリスクが発生しないよう、事前に万全の対策を講じます。

3. 成果:改善効果を持続させる「自律的な組織」へ

この分析を通じて、組織のモチベーション阻害要因を取り除き、社員が安心して、前向きに働ける環境を構築します。

  • 改善の加速: 社員のやる気が向上することで、オペレーション改善などの計画がスムーズに現場に浸透し、改善効果が持続します。

  • リスクからの解放: 潜在的な労務リスクを解消することで、経営者が安心して事業の再構築に注力できる環境を整備します。

労務・人事分析は、事業再生を「単なる延命」ではなく、「利益を上げ続けられる強靭な組織への変革」へと導きます。