平日17時で満席──浜松の繁盛酒場「たんと」に学ぶ"勝ちパターン"

皆さま、こんにちは。事業パートナー東京の塩沢です。

コロナ後飲食店の苦戦が目立ちます。

 

しかし、居酒屋業態の明確な「勝ちパターン」とは何か──机上で考えていても答えは出ません。そこで今回、地元コンサルタントの先生のご紹介により、浜松で圧倒的な人気を誇る繁盛酒場「たんと」の視察に行ってまいりました。

 

■ 平日夕方5時、すでにテーブル席は満席

「たんと」は浜松駅を中心にドミナント展開で現在6店舗。夕方3時から開店している店舗もあり、5時に訪れてもテーブル席は予約で埋まり、カウンターにしか座れないほどの人気です。驚くべきは浜松駅南口。わずか50mの範囲内に、同じ系列の店がなんと3店舗もひしめいています。

なぜこれほど人を惹きつけるのか。現地で見えてきたポイントは3つです。

 

■ ポイント1:「出世の乾杯」──とにかく元気

この店の乾杯は一味違います。「やらまいか!」「おいしょお!」の掛け声とともに、全員で杯を交わすのです。店員さんがグループごとに丁寧に作法を説明し、先輩格の人に「やらまいか」と言わせ、他の全員が「おいしょお」と応えます。

「やらまいか」は遠州の方言で、徳川家康がこの言葉で人々を鼓舞し天下を取ったことに由来するそうです。「おいしょお」は地元のお祭りの掛け声。乾杯ひとつに、土地の歴史と誇りが込められています。

 

■ ポイント2:地元食材へのこだわり

生シラス、地元のソースを使った遠州焼き、円形に並べて焼き上げ真ん中にもやしを添えた餃子。鰹は分厚く切り、ニンニクと生姜をたっぷりつけていただきます。メニューの随所に地元食材がふんだんに使われ、「浜松ならでは」が皿の上で語られていました。

 

■ ポイント3:祭りを起点とした店づくり

浜松ではゴールデンウィークに毎年大きな祭りが開催され、地元の人なら誰もが知るイベントです。「たんと」は、この祭りの熱気を起点に、地元の人がよそから来た人に対して「地元を自慢したくなる」店づくりを徹底しています。

 

■ 視察から見えた「勝ちパターン」

「たんと」において、居酒屋は単なる食事の場所ではありません。地元を愛し、人と人とのコミュニケーションが深まる場。その工夫が随所に施されているからこそ、平日の夕方5時で満席になるのです。

席が足りなければ、周囲に2号店、3号店をつくる。店舗が増えれば目に触れる機会が増え、さらなる集客を生む──この好循環が、駅南口50m圏内3店舗というドミナント展開を支えていました。

 

そして最も重要なのは、「遠州人が自慢したくなる、活気あふれる元気な居酒屋」という店の定義(コンセプト)が明確であることです。定義がしっかりしているからこそ、掛け声・食材・祭りといった個々の戦術が一貫して機能し、人が人を呼ぶ仕組みが生まれる。

 

これはAIには代替できない、「人にフックをかける」見事な仕組みでした。

再生案件においても、戦術の前にまず「この店は何のための場所か」という定義から見直す。その重要性を改めて確認した視察となりました。

 

貴社の事業においても、「自社の提供する場の定義」は明確でしょうか。ぜひ一度、問い直してみてください。