6月30日、「経済財政運営と改革の基本方針2026」、いわゆる「骨太の方針」が発表されました。
「国の方針なんて、うちみたいな中小企業には関係ない」——そう感じる経営者の方も多いかもしれません。ですが、骨太の方針は国家運営の羅針盤であり、この先どこに予算がつき、どんな補助金・支援策が出てくるのかを占う、いちばん根っこの資料です。ここを押さえておくかどうかで、数年後に見える景色はかなり変わってくると思っています。
今回、私が特に注目したポイントは2つあります。
①高市内閣として初めての骨太の方針
まず単純に、高市内閣にとって初めて打ち出す骨太の方針だということ。新しい内閣の「経済観」が色濃く出る、いわば最初の意思表示です。
②財政に対する考え方そのものが変わった
そしてもう一つ、私が最も重要だと感じたのが、単年度主義から複数年度予算へという発想の転換です。
これまでの日本の総括として、「失われた30年」は投資不足によるものだった、という反省がベースにあります。単年度の予算に縛られていると、どうしても目先の帳尻合わせになりがちで、長期的な仕込みができない。そこで今回は、複数年度予算で未来に向けて強い経済をつくっていく、という方針が明確に打ち出されました。
投資の柱は大きく2つ。
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危機管理投資:サプライチェーンを1つに依存しない体制づくり
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成長投資:AIエンジンの開発、ウエハーなどAIサプライチェーンの掌握
そして、2040年までに370兆円という規模の投資を、17分野に振り分けていくとされています。
AI・半導体/量子/創薬・先端医療/食料(フードテック)/資源・環境(GX)/航空・宇宙/海洋/造船/防衛産業/コンテンツ/情報通信/フュージョンエネルギー/マテリアル(新素材)/国土強靱化(防災産業)/港湾ロジスティクス/デジタル・サイバーセキュリティ/先端モビリティ(自動運転など)
17分野もあると、正直「広すぎて自分ごとにできない」と感じる方もいると思います。あえて1つに絞るなら、私はAX(AIトランスフォーメーション)に注目しています。AIを業務の中核に据えるという流れです。AIを調べ物で使う時代から、自立して仕事をしてもらうパートナーへ。
これまでDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の補助金が数多く出ていましたが、今後はAX関連の補助金が増えてくると私は予想しています。
さらに象徴的なのが、「強く豊かな日本投資枠」です。複数年度予算であることに加えて、シーリング(上限)を設けないという、これまでとは一線を画す枠組みになっています。365日、単年度の予算感覚に縛られたままだと、この流れから取り残されてしまう可能性がある——そう感じています。
賃上げについて
賃上げは毎年1%アップという方向性が示されていますが、物価上昇(2%想定)を考えると、正直これでは足りません。実質的には3%程度の賃上げが必要になってくるのではないか、というのが私の感覚です。
地方の「ゼブラ企業」にも光を
もう一つ印象的だったのが、100億・10億・1億という規模感の中で、地方に根ざした「ゼブラ企業」(急成長・独占を目指すユニコーン企業とは対照的に、持続可能性や社会性を重視しながら着実に成長する企業)にも光を当てていく、という視点です。派手さはなくても、地域に根を張り、じっくり価値をつくっている会社にもチャンスがある時代になりそうです。
これを聞いて、私たちがやるべきこと
一番大事なのは、発想そのものの切り替えだと思っています。単年度予算で「今年をどう乗り切るか」ではなく、複数年度予算の発想で「数年先に向けて何を仕込むか」で考える。そして、17分野の成長投資のうち、自社にとってどこが接点になり得るのかを、早めに見極めておくことです。
顧問先の皆さまとも、この17分野のうちどこを狙っていくのか、一緒に考えていきたいと思っています。「うちには関係ない」で終わらせず、「うちならどこに絡めるか」という視点で、ぜひ一度、自社の事業と照らし合わせてみてください。
